元本割れする預貯金 ~名目ではなく実質で考える~

お金

世の中を元気にする投資家、ぴんころ研究所のかずきです。

 

お金をどこに置くか。

これは非常に悩ましい問題です。

老後の不安があるので積立投資をしたらよいのか。

長期で成長する可能性のある会社の株式を買うのが良いのか。

それとも、不動産投資をして家賃収入を得るのが良いのか。

いやいや虎の子のお金が減る可能性があるので預貯金にしておくのが良いのか。

いずれの方法もメリット・デメリットがあり、これが正解というものはありません。

 

でもこの中でひとつだけ、お金を置いておくのに不適切な場所があります。

それはどこだと思いますか?

 

それは皆さんが大好きな銀行などの預貯金です。

なぜ預貯金だけがお金を置いておくのに不適切な場所なのか、その理由を解説します。

お金の価値は下がり続けている

2022年12月の消費者物価上昇率は4.1%。

これは実に41年ぶりの数字です。

41年前と言うと昭和57年。

中曽根内閣が誕生した昭和57年は、500円玉硬貨が発行され、テレホンカードが初めて発売された年です。

ずいぶん昔の出来事ですが、現在はその年以来の物価上昇幅になってます。

当時は物価以上に賃金が上昇していたので、大きな問題になることはありませんでした。

その時とは違い、現在は賃金が上がらない時代になっています。

最近はそれでもユニクロやオリエンタルランド、イオンなど大企業による賃金アップの話がちらほら出てきています。

しかし、その恩恵を受ける人は限られています。

大多数の人は賃金も上がらず、食品や光熱費など物価上昇によるダメージをもろに受けます。

このことが意味するのはもはや明白です。

これまでと同じように現金を現金のまま持っていては、購買力がじわじわと減ってジリ貧になっていきます。

預貯金は物価を考慮すると元本割れする金融商品

物価が4%上がっても、賃金が4%上がればなんら影響はありません。

物価が4%上がっても、賃金が4%以上上がっていれば購買力は増えて生活は楽になります。

その逆に、物価が4%上がっても、賃金が2%しか上がらなかったら購買力は下がり生活は苦しくなります。

物価だけが4%上がって、賃金が全く上がらなかったらそれはもう大問題です。

 

ただし、そんな時でも預貯金の金利が4%あったら、心配することはありません。

銀行に預けさえすれば元本は減らず、結果的に物価上昇に負けません。

余計なことをせず稼いだお金をただ銀行や郵便局に預ければ万事オーケーです。

では、現実はどうでしょうか。

2023年2月現在、銀行の定期預金金利は平均で0.1%

ということは、物価を考慮した実質は-4%(0.1-4.1)です

1年間で4%価値が減っていきます。

つまり銀行に置いているお金は日に日に溶けていきます。

 

日本は長期のデフレからインフレに大転換しました。

貯金として置いているお金は今後、ただそこに置いてあるだけで価値を失っていきます。

日本の個人金融資産は全体で2,000兆円を超えていますが、その半分以上が現預金です。

残念ながら、日本人の多くの金融資産は溶ける資産になっています。

 

数字上、預貯金は目減りしません。

ただそれはあくまで名目であって、これからのインフレ時代にはお金の価値(=購買力)はかなり減っていきます。

名目の数字ではなく実際の購買力という視点で考えないと、気づいたときには取り返しのつかないことになりかねません。

まとめ

終戦後、日本は飛躍的な経済成長を遂げました。

高度成長のもとで、物価以上に賃金が大きく上がりました。

バブル後の平成の約30年間は、賃金があがらないデフレの時代でした。

この間に、日本人の平均給与はG7の中で最低水準にまで落ちています。

しかし、元号が改まった令和はインフレの時代になるかもしれません。

 

これまでは物価が下がってお金の価値が上がるデフレの時代。

これからは物価が上がってお金の価値が下がるインフレの時代。

この先どうなるかは分かりませんが、30年続いたデフレからの巻き戻しはそう簡単には終わりません。

5年先10年先に、こんなはずじゃなかったと泣きを見ないように、お金の置く場所を考えるいい機会かもしれませんね。

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